伝熱計算の基本をまとめていきます。
・強制対流伝熱の基本式(シェル&チューブ熱交)
・自然対流伝熱の基本式
・沸騰曲線
・相変化を伴う熱交換
・非定常計算における伝熱
・輻射伝熱計算の基本式
・保温付配管の放熱計算
・簡易熱交換器設計
・ピンチ解析
代表的な配管内の強制対流伝熱係数の算出式をご紹介します。
Cf)伝熱計算の参考資料
沸騰曲線は壁面温度と、運転圧力における飽和温度との温度差に対する伝熱量を対数表示で示します。自然対流伝熱領域から核沸騰、遷移域を経て膜沸騰域までの伝熱量の推移を表現しています。以降では、各領域における代表的な伝熱係数の推算式をご紹介していきたいと思います。プラントの立ち上げ挙動等を表現したい場合には上述の領域を跨いでいくため、各状態に応じた伝熱係数を用いる必要があります。AVEVA社のDYNSIMではスタートアップ時にかかる時間を正確に検討するため、核沸騰領域も考慮した伝熱計算が考慮されています。
凝縮伝熱の熱伝導率計算にはよくShahの式が用いられています。上述のDittus-Buoelterの式に対し、補正係数がかかった形となっており、プロセスシミュレーターでも多く採用されている式になります。
こちらの本に詳細はまとめられているので、ご参考にしていただければと思います。(Shahの式の適用範囲についても述べられています)
以下がShahの式になります。xが蒸気率を表しており、Dittus-Boelterの式から求まる伝熱係数が\(h_{c}\)として表されています。
$$ h_{TP} = h_{c} \left( (1-x)^{0.8} + \frac{3.8x^{0.76}(1-x)^{0.04}}{P_r^{0.38}} \right) $$沸騰伝熱の熱伝導率を求める際によく使われるのがChenの式になります。プロセスシミュレーターでも多く採用されている式です。
こちらの本が大変素晴らしく、Chenの式の背景も含めて説明されています。
以下簡単なまとめですが、Chenの式は、核沸騰部分の考慮を表現したFoster and Zuber(1955)の式から求まる伝熱係数\({Ncb}\)と、上述の対流伝熱部分を表現したDittus-Boelterの式から求まる伝熱係数\(h_{c}\)の和を係数S、Fで繋いで表現されます。
$$ h_{TP} = S\cdot h_{Ncb} + F \cdot h_{c} $$ $$ h_{Ncb} = 0.00122\left( \frac{\lambda_l^{0.79} c_{p,l}^{0.45} \rho_l^{0.49}}{\sigma^{0.5} \mu^{0.29} H_{vap}^{0.24} \rho_g^{0.24}} \right)\Delta T_{SAT}^{0.24} \Delta p_{SAT}^{0.75} \left(S \right) $$ここで係数FはLockhart Martinelli factor: \(X_{tt}\)と2相流の局所レイノルズ係数の関数として、Suppression係数Sも左記レイノルズ係数の関数として表現されます。(詳細は上述の著書をご参照ください。)
厳密には金属部、保温部共に独立した温度プロファイルを持ちますし、保温部も熱容量を有すので、非定常での温度推移としては正確ではありませんが、巨視的な挙動としては下式にて捉えることができます。
保温付配管の放熱計算を行う場合、長手方向には複数分割する必要がありますが、通常径方向に対しては分割せず各ノードで完全混合しているものとして計算します。
こちらで紹介しているAVEVA社のDYNSIMの場合、Miscellaneous Equationモデルで任意の伝熱係数式を与えて計算させることも可能です。
相変化を伴う厳密熱交換器設計にはHTRI等の専用のソフトを用いる必要がありますが、以下ではもはや入手が困難ですが熱交換機設計ハンドブックとHeat Exchanger Design Handbookを参考に簡易的な計算方法をご紹介します。
相変化を伴う厳密熱交換器設計にはHTRI等の専用のソフトを用いる必要がありますが、簡易計算であればプロセスシミュレーターでも行うことが可能です。以下ではAVEVA PRO/II Simulationに搭載されている厳密熱交換器モデルの簡単な推算機能を使った熱交換器設計機能をご紹介します。
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